下図はドック後2年間の毎日のヌーンレポートから、積荷航海(Laden )で風力4以下のデータを抽出し、更に速力を基準排水量(ここでは具体的な数値は省略しています)における値に換算して求めた速力・燃費回帰曲線(=
Performance Curve)です。プロットされた各点は1日当たりの平均速力(=V: Velocity)、燃料消費量( 燃費 = FOC
: Fuel Oil Consumption )です。燃費FOCは速力Vの2.1乗回帰曲線になっています。
即ち、実海域におけるスピード・燃費曲線は理論値である3乗曲線よりも小さなべき乗曲線になっています。
なお、アブログデータを基にした実海域の回帰Performance Curveを求める場合には下図に示す通り、適度に減速航海のデータが存在することが必須条件となります。

ご参考までにデータの中央値を通る3.0乗曲線を重ね合わせてみたのが下図です。中央値からの乖離が大きくなるにつれてそれぞれの曲線の乖離も大きくなりますので、3.0乗曲線を使って燃費解析する際には注意が必要です。

下図は前回ドック後2年間の毎日のヌーンレポートから抽出したデータを散布図(紺色)に纏め、その中央値を通る2.1乗曲線(赤色の細線)を表示させ、更にドック後2年以降の抽出データ(黄緑色)を同一散布図に重ね合わせ、同じく中央値を通る2.1乗曲線を使ってPerformance
Curve(赤の太線)を描いています。
2期間のPerformance Curveを比較すると、グラフは殆ど一致し、ドック後2年経過後の燃費性能はほとんど劣化が認められませんでした。

下図は燃費のトレンドグラフです。プロットされた点はスピードと排水量を一定にした場合の各航海の平均燃費です。Wind Force 4以下にて抽出したデータは燃費のバラツキもなく、トレンド曲線の近傍に集中しています。
前回ドック以降、燃費は略横ばいのまま30か月後のドックを迎えることになりました。本船は在来の水和型防汚塗料(A/F: Antifouling Paint)を使っていますが、比較的良好な成績と判断されます。

下図は前々回ドック後2年間の毎日のヌーンレポートから抽出したデータを散布図に纏めたものですが、減速航海データがないため回帰曲線を描くことができません。
そこで理論値である3乗曲線を使ってPerformance Curveを描いています。

下図は前回ドック後2年間の毎日のヌーンレポートから抽出したデータ(黄緑)を上のグラフに重ね合わせ、上図の場合と同様に3乗曲線を使ってPerformance
Curve(赤の太線)を描いています。
2期間のPerformance Curveを比較すると、前回ドック以降の2年間の方が平均で燃費が3.6%悪化していました。
これは前回ドック時に塗装された防汚塗料がSelf Polishing型からグレードを下げた在来型(水和型)に変更されたことによると判断されました。

下図は速力と排水量を一定(上の図と同じ排水量)にして、前々回ドック以降2年間の航海毎の平均燃費推移(紺の曲線)と前回ドック以降の 2年間の航海毎の
平均燃費推移(赤の曲線)を重ね合わせたものです。
前々回ドック以降の初めの200日程度はデータが入手できておりませんが、その後の燃費は略横ばいか多少下降気味に推移しています。
前回ドック以降の燃費は時間の経過とともに上昇傾向にあることが分かります。一般的にSelf Polishing型防汚塗料は時間の経過とともに船底外板の表面粗度が減少することにより摩擦抵抗が減少し燃費も減少しますが、
在来型防汚塗料の場合には逆に時間の経過とともに表面粗度が増加し、 燃費は漸増する傾向にあることが分かります。この場合の期間の燃費を比較すると、前回ドック以降の方が燃費は上の場合と
同様に3.5%程度増加していることが分かりました。
