2.年間作付け計画の考え方

年間作付け計画を具体化するためには、畝の向き、畝の幅、通路幅などを最初に決めて、 野菜を作るための畝の総数を定めることが必要。

2-1 畝の向き

畝の向きは東西方向にしたらよいか南北方向にすべきか、狭い家庭菜園では重要なテーマといえる。
◍ 畝を南北方向に設けた場合:
1) 我が楽々家庭菜園は何故か午後になると西風が強くなる。ソラマメ、スナップエンドウ、トマト、 ゴーヤ、キュウリ等、背丈の高い野菜は強風をもろに受け、倒壊の恐れが多分にある。
2) 隣の畝との間隔が十分にないと背丈の高い野菜の陰になって日が当らない野菜が多くなる。
◍ 畝を東西方向に設けた場合:
1) 東側に道路があり、雨水などは道路側に流れていくようにすると水はけがよくなる。
2) 野菜に朝から夕方までまんべんなく日が当たる反面、北側の野菜は背丈の高い野菜の陰になって 日が当たらなくなる弱点がある。
この場合、南側に背丈の低い野菜、北側に背丈の高い野菜を配置する。また、背丈の高い野菜を1畝2条にすると、 この場合も北側の野菜に日が十分にあたらなくなる。

などの理由から楽々家庭菜園では東西方向の畝を標準とし、背丈の高い野菜は原則 として 1畝1条 にて植え付けるようにしている。
なお、畝とは言えないがラズベリーは南北方向に3列に並べている。

2-2 畝の幅・高さ

畝の幅は基準となる幅を設定して、野菜の列数、野菜が成長したときの広がりを勘案して決める必要がある。
基準となる寸法として、通路は畝の手入れをするために必要十分の幅があればよいので長靴をはいた状態を想定して幅30cmとする。
畝幅の明確な定義がないので困るのだが、畝の幅を明確にしておかないと畝の列数を決めることができない。
従って最も重要な寸法として
基準の畝幅(広義)=ベッドのスソからスソまでの距離(50cm)+通路幅(30cm)
            =80cm とする。
狭い家庭菜園では出来るだけ多種類の野菜を育てたいとの思いからプロの推奨する畝幅より少々細めの畝幅としている。
その結果、南北に約8.5mの楽々家庭菜園の畝数は10列になる。
基準の畝高さは、嵩高の宅地がベースのため水はけがよいので10cmとする。
トマトやゴーヤ等は水はけをよくする必要があり、畝高さは15cm〜20cmにする。


        畝幅等の基準寸法

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2-3 輪作の薦め

菜園を始めたころ、農業がズブの素人であった私は、まあ適当に野菜を作っていたけれど、 色々失敗を繰り返しながら辿り着いたのが連作できない野菜を三つのグループ(ナス科、ウリ科、マメ科)に分け、 それにアブラナ科とネギなどを織り交ぜながら、3年ピッチで輪作する手法。 多品種少量生産を目指すには、この手法が合理的だと思う。

(注) 連作と輪作
連作は同じ仲間の野菜を、同じ場所で作り続けることを言う。
ナス科の野菜などは連作すると、生育が非常に悪くなり、「連作障害」を招く。
原因は「その野菜が好きな肥料成分だけを吸収することに加え、その野菜を好む菌や病害虫の密度が高くなり、 土のバランスが崩れて野菜がうまく育たなくなる」と云われている。
例えば、田舎でトマトの専業農家として生計を立てている従兄の話ではトマトで連作障害を引き起こすと 専業農家は廃業するほかないとのこと。実に恐ろしい。
輪作は連作障害を防ぐため、同一箇所には数年は別の野菜を育て、その後で同じ場所に戻って栽培することを言う。
輪作が野菜作りの基本と言え、私は今日まで出来るだけ輪作になるように野菜作りをしている。

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2-4 年間の作付け計画

下図は年間の作付け計画を2020年ベースで図式化したもの。
毎年秋にマメ科グループが新たな植え付けのために北へ移動。
ナス科グループは翌年の春にジャガイモを先頭に北へ移動。
ウリ科グループも同じく翌年の春に南の区画に移動して輪作を続けることになる。



科別の色分けには苦労した。
長年、畑の管理はMicrosoftのExcelを使って行っているが、いつもどの色を使って畑の区分を 分かりやすくするかに腐心していた。今回やっと色分けを標準化することができた。
色分けは意外と重要だ。毎年の春夏秋の作付けを計画する際に、科単位で詳細区画の色分けをしておけば、 輪作のタイミングが容易に分かるようになる。

赤色の野菜くずの埋め込み区画のうち、ラズベリー区画の周りはラズベリーの根が野菜畑に 進出しないように毎年土を深く掘り起こしてラズベリーの根を切り、野菜くずを埋め込んでいる。
東側の通路についても、道路側に発生した笹が菜園に伸びてこないように土を掘り起こして笹の根を切り、 野菜くずを埋め込んでいる。
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2-5 コンパニオンプランツについて

更に今年からは仲の良い植物同士を一緒に植える、あるいは隣り合わせで植えるコンパニオンプランツの 考え方も積極的に取り入れるつもり。
年間作付け計画図の下端に野菜の種類ごとに色分けしたマスを表示しているが、これはどの科とどの科の 野菜が相性がよいかも示している。
ネギ属とウリ科、ナス科とマメ科、アブラナ科とキク科は上下にマスを隣接させることにより 相性がよいことを示している。
相性がよい野菜は近くに、悪いものは遠くに離して植えるのが原則。

以下に組み合わせの具体例を示す。
● トマト、ピーマン、ナスと落花生との相性は抜群。病害虫に強くなる。 但し、同じナス科でもジャガイモと落花生は相性が悪い。(落花生は場所をとるので、 ナス科野菜との組み合わせに応用するのはかなり難しい。)

● トマトの脇にバジルを植えるとお互いの病害虫が防げ、かつ美味しくなる。(これはすぐ利用できる。)

● トマト、ピーマン、ナスは同じナス科のジャガイモと相性が悪い。(従ってジャガイモは 他のナス科野菜とは離した方がよい。)

● ナスとニラの相性は抜群。ネギ類特有の匂いで害虫を遠ざける。一緒に植え付けるときは互いの根をからませるのがよい。(これは即利用できる。)

● キュウリとネギは相性がよい。この場合もお互いに根をからませるのがよい。(これも即利用できる。)

● タマネギとソラマメも相性がよい。お互いの病害虫が少なくなる。(今年は気が付かないまま利用していたが、かなり効果があると感じる。)

● アブラナ科の野菜(ミズナ、ダイコン等)のそばにバジルを植えるとキスジノミハムシが嫌がってバジルの周囲の野菜につかなくなる。(ミズナもダイコンもすぐ、葉が密になってしまうので植え方に注意したい。)

● ブロッコリーの隣にサニーレタス等キク科の野菜を植えると ブロッコリーがアオムシの被害から守られる。 (ブロッコリーの間に植えたらよさそうだ。)

● ダイコンにシュンギクの組み合わせも同様。(ダイコンをあまり密に植え付けないようにすれば利用できる。)

● インゲンの側にルッコラを植えると互いの生育を促しあう。(この組み合わせは春にインゲンを育てる場合には効率的かもしれない。今年試しにやってみた。)

● ホウレンソウのそばに葉ネギがあると、ホウレンソウの成分が人間の健康によくなると言われている。互いの害虫を寄せ付けない。(ホウレンソウの畝の周りを葉ネギで囲ったら効率的かもしれない。)

狭い菜園だと、分かっていても相性がよい野菜同士を隣で育てられないことも多いので年単位の作付け計画が大事となる。
下表はコンパニオンプランツの相性を一覧表に纏めたもの 。野菜は我が楽々家庭菜園で栽培しているものを表示している。



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2-6 野菜の日照条件

意外と知っているようで知らない野菜(植物)の日照条件は下表の通り。日向がいいと思っていたら半日陰の方がよく育つ場合もあるので注意が必要。



例えば、ジャガイモは半日陰でも育つし、ラズベリーは半日陰の方がよく 育つと云われる。そういえば、南側で日当たりがよい場所のラズベリーは 何故か育ちが悪かった気がする。
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2-7 実際の作付け計画

年間の作付け計画は、前述の三つのグループをどの区画(3畝分)にはめ込むかを考えることから始まる。

1) 2020年春の作付け例

2020年春の作付け例を下図に示す。ある時点で育てている野菜は約20種類。


南側の区画は、昨年の秋に植え付けたソラマメ、スナップエンドウ+玉ねぎが主体で収穫期に入るところ。
春に植え付ける野菜の前に、昨年秋に植え付けた野菜の結果を述べることとする。

ソラマメはタマネギとの相性が悪いという説もあるが、今年の西側で育てたソラマメは南北にタマネギに挟まれていたにもかかわらず大豊作。東側のソラマメも大豊作で仲間内からはソラマメのプロと言われ悦に入っている。
但し、ソラマメは横に広がるため畝幅を広くしておかないと相性以前の問題として、隣の野菜の育ちに悪影響を及ぼすので注意が必要。

東側のソラマメの北側にはスナップエンドウを育てているが、スナップエンドウも横に広がるため、日陰になるところは実の付きが悪い。
しかし、今年はスナップエンドウも大豊作だった。そういう点では隣にソラマメがあっても気にすることはないとも言える。
下の写真は奥側がスナップエンドウ、手前がソラマメ。



下の写真はソラマメが大豊作であったので、来年用の豆を保存しようと思い、畑で莢が黒くなるまで放置しているところ。ソラマメの育て方については後の章で詳しく説明したい。



タマネギは昨年はうまく育たなかった。原因不明のため自信を無くしつつあったが、今年はよく育った。昨年と同様に種から育てたのだが、何故今年はよく育ったのか。
昨年植え付けた区画は土地が悪かった、あるいは悪くなってきたのかとの思いが強い。

ニンニクは今年も育ちが悪かった。年を越してから急に葉が枯れ始めた。これも土壌が悪いために病気になった感じがする。意外とニンニクは繊細な野菜だ。
ということで、今年の夏は区画の一部を太陽熱で消毒する予定。

中央の区画はトマト、ジャガイモなどのナス科野菜を主体とする植付け期。南側からナス、ピーマン、トマトの順に植え付けたが、日当たり的に背丈の高いトマトを北側に置き、相性の悪いナスとトマトを離して置く、この並びがベストと感じる。

ナスは、昨年6本のうち1本だけ安い苗を購入したが、よく育ったので今年は6本全て安い苗を購入して育てることにした。銘柄は定番の千両2号。
昨年は支柱を多めに立てたが、育ちがよかったので今年は3本仕立ての支柱とした。5月一杯は順調に育っていたが、下の写真の通り、現在は一部のナスの葉が枯れかかっている。ネットで調べたら半身萎凋病の写真にそっくり。
やはり安い苗ばかり購入したのは失敗だったかと反省しているが、この畝は2017年にピーマンを育てて以来のナス科の野菜。連作障害になるとは驚きであり、意外だと感じている。



ピーマンはジャンボピーマン2本、残り3本は4連ポットの安い苗を購入。以前から3本仕立ての支柱にしているが、毎年豊作が続いている。
トマトは大玉2(ホーム桃太郎)、中玉2(坂本さんちのフルーツトマト)、ミニ1(アイコ)を購入。一本立ちの支柱としているが、この方法が育ちがよい。

畝の長さは一般に3m弱とする。これだけの長さがあれば家庭で消費する場合、たいていの野菜は賄える。たとえば、ナス、ピーマン、茎ブロッコリー などは5,6本植えることができるので十分な量となる。

畝の幅は前述の通り標準を80cmとし、野菜の種類によって適宜変更する。
ナス科の区画はトマト等、人気の野菜が多く、畝が不足気味になってしまうので注意が必要。 同じナス科でも相性が悪いジャガイモは東側の畝を使って育てることにした。
ところが、5月の急激な気温の上昇に原因があると思われるのだが、今年は殆ど花が咲かなかった。そして6月の中旬にはすっかり枯れかかっている状態で掘り起こしたところ、まあそれなりにイモが出来ていたので安心した次第。

北の区画はゴーヤ、キュウリなどのウリ科に加え、場所が空き気味のためアブラナ科(ダイコン、茎ブロッコリー)やマメ科(落花生)の野菜を植え付ける。
落花生は場所を広く取るので周りで育てる野菜に注意する。今年は北側にルッコラを育てたが、大きくしないで片づける予定。

キュウリは、春の植付け期には苗を購入するのが常道となっているのだが、仲間内からはキュウリを苗から育てるなんて贅沢だと云われる。
「今年はホームセンターに行っても安いキュウリは売っていなかったんですけどね。
そういえば昔は自分も種から育てたことがあるなー」 と思いだした。
下図は奥側が右側から強健キュウリ3本とミニキュウリ2本の育成状況。別のコンパクトカメラを使ったらうまく撮れなかったのでiPhoneで撮りなおしたもの。株が重なってキュウリの状況がよくわからないのが残念。しかしながらiPhone11Proのカメラは超広角はゆがみが目立つものの通常の広角レンズは本当に良く撮れる。畑の記録写真用としては最高だ。
キュウリはそれなりによく育っている。高価なキュウリなので当然と云えば当然だ。
小さいうちに両者とも収穫してマヨネーズを掛けて食してみたが、さすがにミニキュウリは美味しかった。



写真の手前に並んでいるのはインゲン豆6本。今まではモロッコインゲンしか作ったことはなかったが、植付け用のインゲンをいただいたので種蒔きした。育ち方に差があるのは、鳥に豆を食べられたため追加で種まきしたことによる。足元にコンパニオンプランツとしてルッコラを植えてみた。
このインゲンは、自分で支柱に巻き付いてくれるので管理が楽ということが分かった。昨年はつるなしモロッコを育てたが、収穫が中腰にならざるをえず、大変苦労した。つるあり種がある野菜は、そちらを優先的に育てるべきだと思う。

北側フェンス脇に、ワサビナをサラダ用に少しだけ育てることにしてみたが、その後、虫に食われて略全滅した。 春のアブラナ科の野菜は育てるのが難しい。
但し、同じフェンス脇で育てた同じアブラナ科のルッコラは多少虫に食われる程度で、サラダとして十分使える。

なお、北の区画が空いているからと言って、ここにはナス科の野菜を育ててはいけない。来年は輪作の順番からすると、ここでナス科の野菜を育てることになる。

最南端の畝は予備として各グループの野菜を育てる。最北端の西側にも予備的な場所があるが、ここも毎年自然と芽が出るシソ、ペパーミント等、連作障害がない野菜を主体に育てる。 こんなことを考えながら年間の作付け計画を練ることになる。
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2) 2020年夏の作付け例

南の区画は5月にはスナップエンドウ、ソラマメ、6月にはタマネギ、ニンニクの収穫も終わり 、以下の手法により太陽熱による土壌消毒を行った。
 1.梅雨が終わり真夏になる7月の下旬に作業を開始する。
 2.畑の雑草を除去する
 3.堆肥2kg/㎡、石灰チッソ150g/㎡を散布して深く耕す。
 4.畝全体に水やりしてビニールで覆い、4週間太陽熱により土壌消毒する。
 

6月初めには種から育てたゴーヤの苗を植え付けている。なんとなく心配のため5月の初めにゴーヤの苗を1本購入しているのだが、 去年採取したタネをポットで育てたら軒並み芽が出てきた。 これも仲間内からは「ゴーヤなんて雑草だから苗なんて買う必要はないですよ」 と御叱りを受ける。(まあ、そうでしょうね。来年はそうします。)

キュウリの2回目の植付けは種からポットで育てた苗を植え付けた。ポットの夏キュウリはよく育っていたが今年は害虫が多く、畑に移植する寸前に葉がボロボロになってしまい失敗した。

モロヘイヤは今年はポットで育てようとしたがうまく育たず、結局6月末に苗を購入して植え付ける。 従来通り直播のほうがよかったと反省。但し、苗は安価なので購入できればそれもいいと思う。
7月末以降、モロヘイヤは例年と変わらずよく育っている。9月上旬には花が咲くので、そのころには収穫を完了する予定。(モロヘイヤの種には毒があるので注意が必要。)
また、モロヘイヤは冷凍保存が可能なのでいつまでも利用することができる。

5月末に種まきしたインゲン豆は、長い梅雨であったがよく育った。
他の野菜は、梅雨で育ちが悪いものが多い感じであったがインゲンは雨でかえってよく育っているようで重宝した。

半身萎凋病にかかったナスは、その後梅雨が終わるころ(7月20日以降)にはかなり元気になっていたので助かった。

下の写真は当研究所のホームページで紹介している「写真報告書ソフト」を使ってExcel Sheetに畑の写真を貼り付けたもの。
今回はiPhone11Proのカメラを使って写したけれど、このカメラは本当によく撮れる。
iCloudに自動的に保存された写真をPCにダウンロードして、上記ソフトに貼り付けてみた。
自分で言うのもなんだが撮った写真を手当たり次第に貼り付けて、よさそうな写真の横にコメントを記入する。 その後で「写真報告書ソフト」の配置編集機能を使って不要の写真をブロックごと削除する手法が便利。
ホームページには、どのようにして貼り付けるかと言うと、ソフトの写真保存用シートの該当箇所をまとめてWordに画像として貼り付け、それを引き続きホームページに貼り付ける。結果は下図の通りで、メモ付き写真帳が簡単に出来上がる。



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3) 2020年秋の作付け例

秋野菜は、来年5月以降に収穫するタマネギ、ソラマメ、スナップエンドウ、ニンニクなどを秋にどの区画で育てるかを決める。輪作計画に従って、中央の区画でマメ科を主、タマネギを従として育てることになる。
それ以外の作物は、早春に北側に植え付けるジャガイモの植え付けに支障がないように計画する。
アブラナ科、キク科の野菜は、来年3月一杯で収穫が終わるものが殆どにつき比較的自由に作付けできる。  
西側のラズベリー区画は、今年ラズベリーが出来過ぎたので区画を縮小して野菜区画を広げることとした。